小規模企業共済は、個人事業主や小さな会社の経営者のための国の退職金制度で、掛金(月1,000〜7万円)は全額を所得から控除できます。加入者は掛金の範囲で貸付も受けられ、一般貸付は年1.5%、特別貸付は年0.9%です。在籍は約172万人。ただし20年未満で解約すると元本割れします。
PR:本記事には広告リンクが含まれます。制度の一般的な説明です。加入・貸付の条件や税金の扱いは、中小機構・税理士に確かめてください。
30秒で分かる結論
- 小規模企業共済は、個人事業主・小規模企業の役員の退職金づくりの制度。掛金は月1,000〜70,000円(500円単位)
- 掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)。課税所得400万円・掛金月3万円なら、節税額は年約11万円(中小機構の目安)
- 貸付は掛金の7〜9割まで。一般貸付は10万〜2,000万円・年1.5%、特別貸付は年0.9%。担保・保証人は不要
- 貸付を受けるには12か月以上の掛金の納付が必要。限度額は年2回(4月末・10月末)に決まる
- デメリット:12か月未満は掛け捨て、20年(240か月)未満の任意解約は元本割れ、掛金は事業の経費にはならない
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小規模企業共済の貸付は12か月以上の納付が必要で、限度は掛金の7〜9割です。請求書の売却は手数料がかかり、共済の貸付より高くなります。審査があります。
「個人事業主の退職金と節税、何から始めればいい?借りることもできる?」で止まっていませんか?
会社員と違い、個人事業主には退職金がありません。老後のお金を用意しながら税金も減らせる方法として、国の小規模企業共済があります。さらに、急に事業資金が必要になった時は、積み立てた掛金の範囲で借りられる貸付制度もあります。
節税・退職金・貸付と役割が多く、損する場合もあると聞くので迷うのは当然です
「節税になる」と同時に「途中でやめると損」とも言われるのは、受け取れる額が掛金を納めた月数で決まるからです。仕組みを知れば、自分に合う掛金と使い方が分かります。
小規模企業共済とは?加入できる人
| 業種 | 従業員数 |
|---|---|
| 建設業・製造業・運輸業・不動産業・農業・サービス業(宿泊業・娯楽業)など | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業)・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
- 個人事業主は、開業届を出して事業所得で確定申告をしていることなどが条件です
- 会社と雇用関係があり給与所得を得ている方や、固定給に近い報酬を得ている方は、個人事業主として加入できない場合があります
- 運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です
出典:中小機構「小規模企業共済 加入資格」(2026年10月16日確認)。
掛金と節税|全額が所得控除、節税額の目安
| 課税される所得金額 | 掛金月1万円 | 月3万円 | 月5万円 | 月7万円 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 20,700円 | 56,900円 | 93,200円 | 129,400円 |
| 400万円 | 36,500円 | 109,500円 | 182,500円 | 241,300円 |
| 600万円 | 36,500円 | 109,500円 | 182,500円 | 255,600円 |
| 800万円 | 40,100円 | 120,500円 | 200,900円 | 281,200円 |
| 1,000万円 | 52,400円 | 157,300円 | 262,200円 | 367,000円 |
- 掛金は小規模企業共済等掛金控除として、課税される所得から全額を控除できます。1年以内の前納掛金も控除できます
- 掛金は自分の収入から払うものなので、事業の経費(必要経費・損金)にはなりません
- 掛金は加入後も月に1回まで増額・減額でき、月払い・半年払い・年払いを選べます
出典:中小機構「小規模企業共済の掛金」(令和6年10月現在の税率による目安、2026年10月16日確認)。将来の税額を保証するものではありません。
貸付制度|掛金の7〜9割まで、担保・保証人なし
| 種類 | 借りられる額 | 金利(年) | 使える時 |
|---|---|---|---|
| 一般貸付 | 掛金の7〜9割の範囲で10万〜2,000万円 | 1.5% | 事業資金・生活資金。随時受付 |
| 緊急経営安定貸付 | 掛金の7〜9割の範囲で50万〜1,000万円 | 0.9% | 売上が減って資金繰りが著しく苦しい時 |
| 傷病災害時貸付 | 掛金の7〜9割の範囲で50万〜1,000万円 | 0.9% | 入院や災害で経営に支障が出た時 |
| 創業転業時・新規事業展開等貸付/福祉対応貸付/事業承継貸付/廃業準備貸付 | 制度ごとに決まる | 0.9% | それぞれの事情がある時 |
- 担保・保証人は不要です
- 返済が遅れると、年14.6%の延滞利子がかかります
- 金利は金利情勢などを踏まえて決まります。上は2026年10月16日時点の公式の利率です
出典:中小機構「共済契約者貸付」「貸付制度の最新の利率」(2026年10月16日確認)。
一般貸付の条件と返し方|12か月以上の納付が必要
- 借りられる人:貸付資格の判定日(4月末・10月末)までに12か月以上の掛金を納め(前納分は含まない)、限度額が10万円以上になっていること
- 限度額の適用:4月末の判定は同じ年の10月1日から、10月末の判定は翌年4月1日から
- 借入の窓口:登録した代理店(登録がなければ商工組合中央金庫の本店・支店)
- 使いみち:事業に必要な運転資金、事業に関連する資金、生活資金
| 借入額 | 選べる借入期間 |
|---|---|
| 100万円以下 | 6か月・12か月 |
| 105万〜300万円 | 6・12・24か月 |
| 305万〜500万円 | 6・12・24・36か月 |
| 505万円以上 | 6・12・24・36・60か月 |
- 6か月・12か月は、期日に一括で返済します。同じ額で借り続ける「同額借換」、一部を返して続ける「減額借換」、増やす「増額借換」もあります
- 24か月以上は、6か月ごとの元金均等返済です
- 例:一般貸付で100万円を12か月借りると、利息は100万円×1.5%=年1万5,000円の計算です
【独自集計】在籍約172万人、共済金は年約5.2万人・約6,160億円
中小機構の「現況」ページの公表値と、加入状況・共済金支給状況のグラフ(2021〜2025年度)から、当サイトが目盛りをもとに値を読み取りました。
| 年度 | 新しい加入 | 在籍 | 共済金を受け取った人 | 共済金の額 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 約11.4万人 | 約159万人 | 約4.3万人 | 約5,070億円 |
| 2022年度 | 約8.8万人 | 約162万人 | 約4.6万人 | 約5,290億円 |
| 2023年度 | 約10.3万人 | 約166万人 | 約5.1万人 | 約5,840億円 |
| 2024年度 | 約9.5万人 | 約169万人 | 約5.1万人 | 約6,040億円 |
| 2025年度 | 約10.3万人 | 約172万人 | 約5.2万人 | 約6,160億円 |
分かったこと
- 中小機構の公表では、2026年3月末の在籍は約172万人、資産運用残高は約12兆4,287億円
- 2025年度の共済金の支給は約6,162億円、1人あたりの平均は1,161万円、受け取った人の平均在籍年数は約18年
- 毎年約9〜11万人が新しく加入し、在籍は4年で約159万人→約172万人に増えた
- 共済金を受け取る人は4年で約4.3万人→約5.2万人に増えた。平均18年続けた人が、平均1,161万円を受け取っている計算
出典:中小機構「小規模企業共済 現況」(2026年3月末現在)。年度別の数字はグラフの目盛りから当サイトが読み取った目安で、正確な値ではありません。共済金は共済金A・Bの合計です。
共済金の受け取り|廃業・退任・65歳以上と、受け取り方
| 種類 | 受け取れる時 |
|---|---|
| 共済金A | 個人事業を廃業した時(すべての事業)、本人が亡くなった時 |
| 共済金B | 65歳以上で180か月以上掛金を納めた時(仕事を続けたままでも可) |
| 準共済金 | 法人成りして加入資格がなくなった時など |
| 解約手当金 | 任意で解約した時など |
| 納付年数(掛金合計) | 共済金A | 共済金B | 任意解約の解約手当金 |
|---|---|---|---|
| 5年(60万円) | 621,400円 | 614,600円 | 480,000円 |
| 10年(120万円) | 1,290,600円 | 1,260,800円 | 1,020,000円 |
| 15年(180万円) | 2,011,000円 | 1,940,400円 | 1,665,000円 |
| 20年(240万円) | 2,786,400円 | 2,658,800円 | 2,400,000円 |
- 一括で受け取ると退職所得、分割で受け取ると公的年金等の雑所得の扱いになります
- 分割受け取りは、60歳以上・共済金300万円以上などの条件があります
- 付加共済金がある年は、基本共済金に加算されます
出典:中小機構「小規模企業共済の共済金」(2026年10月16日確認)。
デメリット・注意点5つ
- 12か月未満の解約は掛け捨て:解約手当金は受け取れない
- 20年(240か月)未満の任意解約は元本割れ:解約手当金は掛金の80〜120%で、100%以上になるのは240か月以上から
- 掛金は事業の経費にならない:所得控除なので、事業の利益そのものは減らない
- 貸付は12か月以上納めてから:加入してすぐには借りられない。限度額も掛金の7〜9割まで
- 返済が遅れると年14.6%の延滞利子
経営セーフティ共済・公庫との違い
| 制度 | 目的 | 掛金の扱い | 借入れ |
|---|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 経営者・個人事業主の退職金 | 所得控除(経費ではない) | 掛金の7〜9割(一般1.5%・特別0.9%) |
| 経営セーフティ共済 | 取引先の倒産への備え | 損金・必要経費 | 倒産時に掛金の10倍まで(無利子) |
| 日本政策金融公庫 | 事業資金の融資 | ― | 一般貸付4,800万円まで(審査あり) |
共済で借りられない・足りない時の資金繰り
- 小規模企業共済の貸付は、12か月以上の納付と、掛金の7〜9割という限度があります
- 時間があるなら、日本政策金融公庫や保証協会付き融資を検討します
- 今すぐ足りない時は、取引先に出した支払期日前の請求書を売って先にお金にする方法があります。手数料がかかるので、資金繰り表で足りない分だけにしましょう
- フリーランスの資金繰り全体はフリーランスの資金繰りで整理しています
PR|今すぐ足りない分は、期日前の請求書をお金にする
小規模企業共済の貸付は12か月以上の納付が必要で、限度は掛金の7〜9割です。請求書の売却は手数料がかかり、共済の貸付より高くなります。審査があります。
小規模企業共済のよくある質問
小規模企業共済の掛金はいくらですか?
月1,000円〜70,000円の範囲で、500円単位で自由に決められます。加入後も月に1回まで増額・減額でき、月払い・半年払い・年払いを選べます。
どれくらい節税になりますか?
掛金は全額が所得控除になります。中小機構の目安では、課税所得400万円で掛金月3万円なら年109,500円、月7万円なら年241,300円の節税です。
貸付の金利は何%ですか?
2026年10月16日時点で、一般貸付は年1.5%、緊急経営安定貸付・傷病災害時貸付などの特別貸付は年0.9%です。返済が遅れると年14.6%の延滞利子がかかります。
いくらまで借りられますか?
掛金の範囲内で、掛金納付月数に応じて掛金の7〜9割まで借りられます。一般貸付は10万円以上2,000万円以内(5万円単位)です。担保・保証人は不要です。
加入してすぐ借りられますか?
借りられません。貸付資格の判定日(4月末・10月末)までに12か月以上の掛金を納め、限度額が10万円以上になっている必要があります。
途中で解約すると損ですか?
12か月未満は掛け捨てで、240か月(20年)未満の任意解約は解約手当金が掛金の合計を下回ります。月1万円で10年なら、掛金120万円に対して解約手当金は102万円です。
共済金はいつ受け取れますか?
個人事業主は、廃業した時(共済金A)や、65歳以上で180か月以上納めた時(共済金B、仕事を続けたままでも可)などに受け取れます。
掛金は経費になりますか?
なりません。掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得から控除するもので、事業上の必要経費や損金には入れられません。
まとめ|長く続けるほど得、貸付は12か月後から
- 掛金は月1,000〜7万円で全額所得控除。在籍は約172万人
- 貸付は掛金の7〜9割まで、一般1.5%・特別0.9%、担保・保証人なし
- 12か月未満は掛け捨て、20年未満の任意解約は元本割れ
- 借りられない時・足りない時は、公庫や期日前の請求書の売却も
関連:経営セーフティ共済とは/日本政策金融公庫の融資/信用保証協会とは/フリーランスの資金繰り
確認した情報:中小機構「小規模企業共済 制度の概要」「現況」(2026年3月末現在)、「加入資格」「掛金」「共済金」「共済契約者貸付」(いずれも2026年10月16日確認)。年度別の数字はグラフからの読み取りで目安です。税金の扱いや貸付の結果、順位・成果を約束するものではありません。
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