フリーランスの業務委託契約書は、法律で必ず作るものではありません。ただし2024年11月からのフリーランス新法で、仕事を頼む側は「業務の内容・報酬の額・支払期日」などを書面かメールで示す義務があります。当サイトは国が公開している契約書のひな形5本を読み比べ、支払期日の書き方、報酬を第三者に譲ることを禁じる条文(ファクタリングに関係)の有無、源泉徴収・振込手数料の扱いを表にしました。印紙は紙なら200円〜4,000円、電子契約なら不要です。契約書がない・もらえない時の対処もまとめます。
この記事にはPR(広告)を含みます。法律はe-Gov法令検索(フリーランス・事業者間取引適正化等法、公正取引委員会規則、民法)、ひな形は文化庁・情報処理推進機構(IPA)・国土交通省の公開資料、印紙税は国税庁のタックスアンサー(No.7102・No.7104)と質疑応答事例、ペイトナーの条件は公式サイトで確かめています(2026年10月19日確認)。監修者・弁護士の確認はありません。
30秒で分かる結論
- 業務委託契約書は必須ではない。ただし頼む側には取引条件を書面・メールで示す義務(フリーランス新法3条)
- 示す項目は業務の内容・報酬の額・支払期日など12項目(公正取引委員会規則)
- 国のひな形5本のうち、報酬の譲渡を禁じる条文があったのは2本(当サイト集計)
- 印紙は紙の契約書で200円〜(基本契約は4,000円)。PDFやメールの電子契約なら不要
- ペイトナーの必要書類は請求書・本人確認書類・入出金明細の3つ。契約書は必須ではない
「業務委託契約書って、作らないといけないの?」
「契約書を交わしたことがない」「取引先から何ももらっていない」。フリーランスの仕事は、メールやチャットの依頼だけで始まることも多いでしょう。
2024年11月に施行されたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)で、仕事を頼む側には条件を示す義務ができました。この記事では、何を書くか → 国のひな形の比較 → 印紙 → 契約書がない時の順に整理します。
取引先が契約書をくれない…このまま仕事をして大丈夫?
公正取引委員会の2024年の調査では、フリーランスの28.1%が「報酬が60日以内に支払われなかったことがある」と答えています。条件を書いたものがないと、いつまでに払ってもらえるのかを主張しにくくなります。
契約書の形にこだわる必要はありません。業務の内容・報酬の額・支払期日が書かれたメールがあるだけでも、あとで役に立ちます。
結論|契約書は必須ではない。条件を示すのは頼む側の義務
- 明示の義務(3条1項):業務委託をしたら「直ちに」、給付の内容・報酬の額・支払期日などを、書面または電磁的方法(メール・SNS・ウェブなど)で示す
- 書面を求められる(3条2項):メールなどで示された場合でも、フリーランスが求めれば書面を交付しなければならない(例外あり)
- 対象:頼む側が事業者で、受ける側が従業員を雇っていない個人や一人社長の会社(特定受託事業者)の取引。頼む側がフリーランス同士でも3条は適用されます
- 民法では:契約は口頭でも成立します。契約書は「言った・言わない」を防ぐための証拠です
書くべき項目|フリーランス新法で示す12項目
| # | 示す項目(公正取引委員会規則 第1条) |
|---|---|
| 1 | 頼む側と受ける側の名前(または識別できる番号・記号) |
| 2 | 業務委託をした日 |
| 3 | 給付(成果物・役務)の内容 |
| 4 | 給付を受け取る期日(期間) |
| 5 | 給付を受け取る場所 |
| 6 | 検査をする場合は、検査を終える期日 |
| 7 | 報酬の額と支払期日 |
| 8〜11 | 手形・一括決済方式(ファクタリング方式など)・電子記録債権・資金移動業者の口座で払う場合は、その内容 |
| 12 | 決められない項目がある場合は、その理由と決める予定日 |
出典:e-Gov法令検索「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」第1条第1項。
このほか契約書には、源泉徴収・振込手数料・再委託・著作権・秘密保持・解除・損害賠償を書くのが一般的です。次の章で、国のひな形がどう書いているかを比べます。
【独自集計】国のひな形5本を読み比べた|報酬の譲渡禁止は2本
当サイトで、国の機関が公開している業務委託契約書のひな形を取り寄せ、フリーランスのお金に関わる条文を比べました。
| ひな形 | 支払期日の書き方 | 報酬の譲渡 | 源泉徴収 | 振込手数料 |
|---|---|---|---|---|
| 文化庁 フリーランスアーティスト・スタッフ向け(Ver.1.0) | 翌月末日など日付で記入。休日は前営業日 | 同意なしは禁止(第17条) | 記載なし | 発注者 |
| 文化庁 映画制作スタッフ業務委託契約書ひな型例 | 「●日締め【当/翌】月●日」。60日以内と解説 | 条文なし | 記載なし | 発注者(第14条) |
| 文化庁 アニメーション制作者向け(基本契約) | 例:月末締め翌月末払い。60日以内と解説 | 条文なし | 源泉徴収を行うと明記 | 発注者 |
| IPA 情報システム・モデル取引・契約書(第二版) | 個別契約で定める | 書面の同意なしは禁止(第51条) | 記載なし | 記載なし |
| 国土交通省 公共工事・民間工事の標準請負契約約款 | 約款で定める | 公共は承諾が必要(資金調達なら原則承諾)、民間は資金調達なら承諾不要の案あり | - | - |
※当サイトの集計(2026年10月19日に各機関の公開ファイルで確認)。文化庁:芸術家等実務研修会の資料(94048801_03・94023201_02・93994001_03)。IPA:2020年12月公表のひな型(Word)。国交省:令和7年12月2日改正の約款(譲渡制限特約の記事で確認)。
- 支払期日:文化庁の映画・アニメ向けは、フリーランス新法の「受け取った日から60日以内」を解説しています
- 振込手数料:文化庁の3本はすべて発注者負担。映画向けは「スタッフが負担する合意がない限り発注者が負担すべき」と解説しています
- 報酬の譲渡:一般的な契約書の「権利義務の譲渡禁止」条項は、報酬を受け取る権利(売掛金)にも及びます。ファクタリングを使う時に関係します(次の章)
支払期日の書き方|「受け取った日から60日以内」に収める
| 書き方の例 | 締め日から支払日まで | 受け取りから支払いまで(最長) | 60日ルール |
|---|---|---|---|
| 月末締め・翌月末払い | 約30日 | 約61〜62日(月の初日に納品した場合) | ○(「2か月以内」として運用) |
| 月末締め・翌月15日払い | 約15日 | 約45日 | ○ |
| 月末締め・翌々月末払い | 約60日 | 約91日 | ×(60日を超える) |
※当サイトの計算(31日の月で計算)。フリーランス新法4条は「給付を受領した日から起算して60日の期間内」。公正取引委員会のQ&A(Q48)は、月末締め翌月末払いのような月単位の締切制度で61日目・62日目の支払いになる場合も「2か月以内」として運用し、問題にしないとしています。
また同じQ&A(Q49)は、今まで納品後すぐに払っていた取引先が「60日以内ならよい」ことだけを理由に支払期日を遅らせるのは、「できる限り短い期間内」に定めたとはいえず、法律違反として問題になるとしています。
支払期日を決めなかった場合は「受け取った日」が、60日を超えて決めた場合は「60日を経過する日」が支払期日とみなされます(4条2項)。締め日と支払日からの日数の数え方は支払いサイトの早見表、法律の違いは取適法とフリーランス新法をご覧ください。
「譲渡禁止」の条文があるとファクタリングはできない?
- 民法466条2項:当事者が譲渡を禁止・制限する特約をしても、債権の譲渡は効力を妨げられない(2020年4月の民法改正)
- 取引先の立場:特約を知っていた譲受人などには、支払いを拒んだり、元の取引先(フリーランス)に払ったりできます(466条3項)
- 2社間ファクタリング:取引先に知らせずに請求書を売る方式なら、取引先からの入金はフリーランスの口座に入り、そこからファクタリング会社に払います
- ペイトナーを使う前に:契約書に譲渡禁止の条文がある場合は、申請前にペイトナーへ確かめると安心です(譲渡制限特約がある請求書は使える?)
源泉徴収と消費税の書き方|報酬は税抜き・消費税を分けて書く
- 源泉徴収:デザイン・原稿・写真・翻訳・講演などは報酬の10.21%が源泉徴収されます。契約書に「源泉徴収の対象となる場合は所得税を差し引いて支払う」と書く例があります(文化庁アニメ向けひな形)
- 消費税:報酬額が「税抜きか税込みか」を書きます。インボイス(適格請求書)を出すかどうかも決めておくと、後でもめません
- 計算の早見表:源泉徴収ありの手取り
印紙はいくら?|紙なら200円〜、基本契約は4,000円、電子なら0円
| 契約書の種類 | 印紙税(紙の場合) |
|---|---|
| 請負に関する契約書(第2号文書):デザイン制作・記事作成など完成を約束するもの | 1万円未満:非課税/100万円以下:200円/200万円以下:400円/300万円以下:1,000円/500万円以下:2,000円/金額の記載なし:200円 |
| 継続的取引の基本となる契約書(第7号文書):営業者間で継続する請負などの基本条件を決めるもの | 1通4,000円(契約期間3か月以内で更新の定めがないものは除く) |
| 委任・準委任の契約書(作業時間に応じて払う業務など) | 請負や基本契約に当たらなければ、原則として印紙は不要 |
| PDF・メールでやりとりする電子契約 | 不要(電磁的記録は課税文書に当たらない) |
出典:国税庁 タックスアンサーNo.7102・No.7104・No.7140、質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」。どの文書に当たるかは中身で決まるため、迷う時は税務署に確かめてください。
契約書がない・もらえない時|メールで条件を残し、書面を求める
- メールで条件を確認する:「業務内容、報酬○円(税抜)、納期○月○日、支払期日○月○日でよろしいでしょうか」と送り、返信を保存します
- 書面を求める:フリーランス新法3条2項で、メールなどで示された場合でも書面の交付を求められます
- 相談する:フリーランス・トラブル110番(0120-532-110、平日9時30分〜16時30分、無料)や公正取引委員会・労働局の窓口へ(報酬未払いの相談先)
契約書とペイトナー|必要書類は3つ、契約書は必須ではない
ペイトナーは、取引先に出した入金前の請求書を買い取り、先にお金を払うサービスです(借入れではありません)。必要書類は「支払期日が確定している請求書」「本人確認書類(初回のみ)」「直近3か月の入出金明細」で、支払期日まで70日以内の請求書が対象です。費用は申請額の10%と振込手数料330円です(公式)。審査の状況によって追加の書類を求められることがあるため、契約書や発注メールは保存しておきましょう。
PR|ペイトナー・契約書なしでも請求書で申請
メールアドレスで無料登録する(ペイトナー公式)登録だけでは請求書の買取や契約は始まりません。申請後に審査があります。対象は個人事業主・フリーランス・法人で、会社員の給料は対象外です。
よくある質問
フリーランスに業務委託契約書は必要ですか?
法律で必ず作るものではありません。ただしフリーランス新法3条で、頼む側は業務の内容・報酬の額・支払期日などを書面かメールなどで示す義務があります。契約書がない場合も、条件を書いたメールを残しておきましょう。
業務委託契約書には何を書けばいいですか?
当事者の名前、委託した日、業務の内容、納期、納品場所、検査する場合の検査日、報酬の額と支払期日が、フリーランス新法で示す基本の項目です。ほかに源泉徴収、振込手数料、再委託、著作権、秘密保持、解除、損害賠償を書くのが一般的です。
無料で使える業務委託契約書のひな形はありますか?
文化庁がフリーランスアーティスト・スタッフ向け、映画制作スタッフ向け、アニメーション制作者向けのひな形を、IPAがシステム開発向けのモデル契約書を公開しています。業種に合わせて内容を確かめて使いましょう。
業務委託契約書の印紙はいくらですか?
完成を約束する請負の契約書なら、記載金額1万円以上100万円以下で200円など金額に応じて決まります。継続的な取引の基本契約書は1通4,000円です。PDFやメールの電子契約なら印紙は不要です。
印紙代はどちらが負担しますか?
印紙税は文書を作った人が納めます。2通作ってそれぞれが保管する場合は、自分が保管する分を各自が負担するのが一般的です。電子契約にすれば印紙代はかかりません。
取引先が契約書をくれない時はどうすればいいですか?
メールで業務内容・報酬・納期・支払期日を確認して返信を残し、必要なら書面の交付を求めます(フリーランス新法3条2項)。応じてもらえない時は、フリーランス・トラブル110番などに相談できます。
契約書に譲渡禁止の条文があるとファクタリングは使えませんか?
民法466条2項により、譲渡を禁じる特約があっても債権の譲渡自体は有効です。ただし契約違反と主張される可能性やサービスごとの扱いの違いがあるため、申請前にファクタリング会社へ確かめましょう。
ペイトナーを使うのに契約書は必要ですか?
必要書類は請求書・本人確認書類(初回のみ)・直近3か月の入出金明細の3つで、契約書は含まれていません。ただし審査の状況により追加書類を求められることがあるため、契約書や発注メールは保存しておくと安心です。
まとめ|契約書の形より「報酬・支払期日」を残すこと
- 業務委託契約書は必須ではない。頼む側には条件を示す義務(フリーランス新法3条)
- 示す基本は、名前・委託日・業務内容・納期・場所・検査日・報酬額・支払期日
- 国のひな形5本のうち、報酬の譲渡を禁じる条文は2本(当サイト集計)
- 印紙は紙なら200円〜(基本契約4,000円)、電子契約は不要
- ペイトナーは契約書なしでも、支払期日が決まった請求書で申請できる
関連:取適法とフリーランス新法/譲渡制限特約がある請求書/フリーランスの報酬未払い/ペイトナーに出す請求書の作り方/ペイトナーとは
確認した情報:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」第3条・第4条・「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」第1条・「民法」第466条、文化庁(芸術家等実務研修会のひな形3点)、IPA「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」ひな型、国税庁タックスアンサーNo.7102・No.7104・No.7140・質疑応答事例、公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査」(2024年10月)、ペイトナー公式サイト(いずれも2026年10月19日確認)。PR:この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
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