インボイスの2割特例は、個人事業主なら2026年分が最後です。2027年分と2028年分は、納める消費税が売上の消費税の3割になる「3割特例」に変わり、法人は使えません。税抜の売上500万円なら、納税は年10万円から15万円へ増える計算です。条件・手続き、簡易課税とどっちが得か、売上別の早見表で整理しました。
PR:本記事には広告リンクが含まれます。税金の一般的な説明です。内容は国税庁「令和8年度税制改正特集」と、リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(2026年5月改訂)にもとづいています(2026年10月16日確認)。自分の場合の判断は、税務署や税理士に確かめてください。
30秒で分かる結論
- 2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終わり。個人事業主は2026年分(2027年3月に申告)が最後
- 2027年分・2028年分は3割特例(納める消費税=売上の消費税×30%)。個人事業主だけで、法人は使えない
- 3割特例は届出不要。申告書に使うことを書くだけ。2年前の課税売上高1,000万円以下などが条件
- 税抜の売上500万円なら、2割特例10万円→3割特例15万円(+5万円)
- サービス業・運送業は3割特例が得、小売業・卸売業は簡易課税が得
- インボイスに登録していない人も、取引先が差し引ける割合が2026年10月から8割→7割に
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対象は取引先への支払期日前の請求書です。手数料がかかり、審査があります。税金の分納は、まず税務署に相談しましょう。
「2割特例が終わるって本当?来年の消費税はいくら?」
インボイスに登録して、2割特例で消費税を申告してきたフリーランスは多いはずです。2割特例は、納める消費税を売上の消費税の2割にできる、とても負担の軽い特例でした。2026年分の申告で終わり、2027年分からは3割特例に変わります。
- 2026年分(2026年1〜12月)は、まだ2割特例で申告できます(申告と納付は2027年3月31日まで)
- 2027年分・2028年分は3割特例。売上の消費税の1割分、納税が増えます
- 2029年分からは、簡易課税か一般課税(本則)になります
制度が毎年のように変わり、何を選べばいいか分からないのは当然です
インボイス制度は2023年10月に始まり、その後も税制改正で特例が足されてきました。この記事では、①自分はいつまで2割特例か、②3割特例を使えるか、③簡易課税とどっちが得か、④納税資金をいくら残すかの順に見ていきます。
2割特例はいつまで?個人事業主と法人の最後の年
| 2割特例の最後 | その次 | |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 2026年分(2027年3月31日までに申告・納付) | 2027年分・2028年分は3割特例(条件あり) |
| 法人(12月決算の例) | 2026年12月期 | 簡易課税か一般課税。3割特例は使えない |
- 国税庁は「現行の2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します」としています
- 法人は決算月によって最後の期が違います。2026年9月30日を含む事業年度が最後です
3割特例とは?2027年分・2028年分の個人事業主だけ
- 計算:納める消費税=売上の消費税-売上の消費税×70%=売上の消費税の30%
- 仕入れや経費の消費税を計算しなくてよく、受け取ったインボイスの保存も消費税の計算には不要です(所得税のための領収書などの保存は必要)
- 正式には「小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置」と呼ばれます
3割特例の条件と手続き|届出は不要、申告書に書くだけ
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 個人事業主であること | 法人は不可 |
| インボイスに登録していること | インボイス登録(または課税事業者を選ぶ届出)で課税事業者になった人 |
| 2年前の課税売上高が1,000万円以下 | 2027年分なら2025年、2028年分なら2026年の課税売上高 |
| 前の年の1〜6月の課税売上高も1,000万円以下 | 課税売上高のかわりに給与などの支払額で判定することもできる |
| 使えない場合に当てはまらない | 課税期間を短くする届出をしている、高額な資産を買って課税事業者になる年、など |
- 事前の届出はいりません。確定申告書に3割特例を使うことを書きます
- もともと売上が1,000万円を超えて課税事業者だった人は使えません
出典:国税庁「令和8年度税制改正特集(3割特例)」・適用可否フローチャート・リーフレット(2026年10月16日確認)。
【独自試算】売上別・2割特例から3割特例でいくら増える?
| 税抜の売上 | 売上の消費税 | 2割特例(〜2026年分) | 3割特例(2027・2028年分) | 増える額 | 毎月残す額(3割特例) |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 30万円 | 6万円 | 9万円 | +3万円 | 7,500円 |
| 500万円 | 50万円 | 10万円 | 15万円 | +5万円 | 12,500円 |
| 700万円 | 70万円 | 14万円 | 21万円 | +7万円 | 17,500円 |
| 1,000万円 | 100万円 | 20万円 | 30万円 | +10万円 | 25,000円 |
- 前提:売上はすべて税率10%の取引、地方消費税込みの目安。軽減税率(8%)や端数の計算は入れていません
- 「毎月残す額」は3割特例の年税額を12で割った額です
当サイトの計算による目安です(2026年10月16日時点の制度で計算)。
3割特例と簡易課税、どっちが得?業種別の早見表
| 簡易課税の区分(みなし仕入率) | 主な業種 | 簡易課税で納める割合 | 3割特例と比べて |
|---|---|---|---|
| 第1種(90%) | 卸売業 | 売上の消費税の1割 | 簡易課税が得 |
| 第2種(80%) | 小売業、飲食料品の農林漁業 | 2割 | 簡易課税が得 |
| 第3種(70%) | 建設業、製造業、飲食料品以外の農林漁業 | 3割 | 同じ |
| 第4種(60%) | 飲食店業など、ほかに当てはまらない事業 | 4割 | 3割特例が得 |
| 第5種(50%) | 運輸通信業、サービス業(デザイン・ライター・エンジニアなど) | 5割 | 3割特例が得 |
| 第6種(40%) | 不動産業 | 6割 | 3割特例が得 |
- 例:税抜売上500万円のサービス業(第5種)なら、簡易課税25万円に対し3割特例15万円で、3割特例が年10万円少ない
- 大きな設備投資などで仕入れの消費税が売上の消費税より多い年は、一般課税で還付を受けられる場合があります。3割特例では、ふつう還付は生じません(国税庁)
- どの区分になるかは仕事の中身で決まります。迷う時は税務署に確かめましょう
出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」(簡易課税のみなし仕入率、Q&A「適用可能なら誰しも3割特例を適用した方が良いの?」)(2026年10月16日確認)。比較は当サイトの整理です。
簡易課税に切り替える時の届出の期限|翌年の申告期限まで
- 簡易課税は本来、使いたい年が始まる前の日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります
- 2割特例・3割特例を使った翌年は、その年の申告期限までに出せば、その年から簡易課税にできます(個人事業主の申告期限は翌年3月31日)
- 例:2026年分を2割特例で申告し、2027年分を簡易課税にしたい小売業の人は、2027年分の申告期限(2028年3月31日)までに届出を出せばよい
- 簡易課税は、選んだら原則2年間は続ける決まりです。基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることも条件です
法人は3割特例を使えない|2割特例の後の選び方
- 一人社長の会社などで2割特例を使ってきた法人は、2026年9月30日を含む事業年度の次から、簡易課税か一般課税になります
- 簡易課税は、業種のみなし仕入率で計算します(上の表)。一般課税は、実際の仕入れ・経費の消費税を差し引き、インボイスの保存が必要です
- 2割特例を使った翌期に簡易課税にする場合も、届出の期限の特例があります。決算月ごとの期限は税務署か税理士に確かめましょう
インボイスに登録していないフリーランスは?8割控除が7割に
| 期間 | 取引先が差し引ける割合(改正後) | 改正前の予定 |
|---|---|---|
| 2023年10月〜2026年9月 | 8割 | 8割 |
| 2026年10月〜2028年9月 | 7割 | 5割 |
| 2028年10月〜2030年9月 | 5割 | 2029年9月までは5割、2029年10月から0割 |
| 2030年10月〜2031年9月 | 3割 | 0割 |
| 2031年10月〜 | 0割 | 0割 |
- インボイスに登録していない(免税事業者の)フリーランスに払った報酬は、取引先が消費税を差し引ける割合が下がるため、値下げや登録の相談を受けやすくなります
- 1つの相手からの仕入れが年1億円を超える分は、この経過措置の対象外になりました(2026年10月1日以後に始まる課税期間から)
- 登録するかどうかは、取引先の数・売上の額・3割特例を使えるかで決めます。報酬の一方的な減額は、フリーランス法で禁止される場合があります(フリーランスの報酬未払い・減額)
消費税の納税資金を毎月いくら残す?
- 入金のたびに、受け取った消費税(税込入金額×10/110)の3割を別の口座に移すと、3月にあわてません
- 税込で11万円入金されたら、消費税は1万円、その3割の3,000円を残す計算です
- 前の年の消費税(国税分)が48万円を超えると、翌年は中間申告で途中にも納めることになります。売上が増えてきたら確かめましょう
- 所得税・住民税・国民健康保険の分も合わせて、資金繰り表に「納税の月」を入れておきます
3月の納税に間に合わない時|分納の相談と、請求書を早く現金にする方法
- 期限までに納められない時は、まず税務署に相談します。条件に当てはまれば、分割で納める制度(納税の猶予・換価の猶予)があります
- 放っておくと延滞税がかかり、督促のあと差押えに進むことがあります(税金を滞納した時の流れ)
- 取引先への支払期日前の請求書があれば、ファクタリングで入金前に現金にして、納税資金にあてる方法もあります。手数料がかかるので、足りない分だけにしましょう
- インボイス番号がない請求書でも使えるサービスがあります(ペイトナーに出す請求書の作り方)
PR|納税資金を、取引先への請求書で先に用意する
対象は取引先への支払期日前の請求書です。手数料がかかり、審査があります。税金の分納は、まず税務署に相談しましょう。
今日やること|2026年分の見込み額と、来年の選び方を決める
- 2026年1〜9月の売上から、2026年分の消費税(2割特例)の見込み額を出す
- 自分の仕事の簡易課税の区分を確かめ、2027年分は3割特例か簡易課税かを決める
- 2025年の課税売上高が1,000万円以下か確かめる(2027年分の3割特例の条件)
- 納税用の口座をつくり、入金のたびに消費税の3割を移す
- 3月に足りなくなりそうなら、早めに税務署に相談する
あわせて読みたい:消費税が払えない時の対処法(換価の猶予・2026年の延滞税)
あわせて読みたい:フリーランスの源泉徴収|2027年からの防衛特別所得税も税率は同じ
インボイスの2割特例・3割特例のよくある質問
2割特例はいつまで使えますか?
2026年9月30日を含む課税期間までです。個人事業主は2026年分(2027年3月に申告)が最後で、12月決算の法人は2026年12月期が最後です。
2割特例は延長されましたか?
延長はされず、個人事業主向けに3割特例が新しくできました。2027年分と2028年分は、納める消費税を売上の消費税の3割にできます。
3割特例はいつから使えますか?
個人事業主の2027年分(2028年3月に申告)からです。2028年分まで使えます。
3割特例を使うのに届出は必要ですか?
事前の届出はいりません。確定申告書に3割特例を使う旨を書きます。インボイス登録で課税事業者になったこと、2年前の課税売上高1,000万円以下などが条件です。
法人は3割特例を使えますか?
使えません。法人は2割特例の後、簡易課税か一般課税で申告します。
3割特例と簡易課税はどっちが得ですか?
簡易課税のみなし仕入率が70%より低い業種(飲食店業・サービス業・運輸通信業・不動産業など)は3割特例が得、卸売業・小売業は簡易課税が得、建設業・製造業などは同じ額です。
2割特例が終わったら、いくら増えますか?
3割特例に変わると、売上の消費税の1割分増えます。税抜の売上500万円なら、年10万円から15万円になる計算です(当サイトの試算)。
インボイスに登録していないと、どうなりますか?
消費税の申告はいりませんが、取引先が差し引ける消費税の割合が2026年10月から8割から7割に下がりました。2028年10月から5割、2030年10月から3割、2031年10月から0割です。
まとめ|2割特例は2026年分まで、来年は3割特例か簡易課税を選ぶ
- 2割特例は2026年9月30日を含む課税期間まで(個人は2026年分)
- 3割特例は2027・2028年分の個人事業主だけ。届出不要、法人は不可
- 売上500万円なら年10万円→15万円。サービス業は3割特例、小売・卸売は簡易課税が得
- 未登録の人は、取引先の差し引ける割合が8割→7割に
- 納税資金は入金のたびに消費税の3割を残す
関連:ペイトナーに出す請求書の作り方/ファクタリングの仕訳と確定申告/フリーランスの資金繰り/資金繰り表の作り方/税金滞納でも使えるファクタリング
確認した情報:国税庁「令和8年度税制改正特集」(3割特例・簡易課税への移行・7・5・3割控除)、リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(2026年5月改訂)(いずれも2026年10月16日確認)。試算は当サイトによる目安です。税金の一般的な説明で、個別の税額や順位・成果を約束するものではありません。2026年分の申告の前(2027年1月)に内容を確かめ直します。
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